20世紀メディア研究所    The Institute of 20th Century Media
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占領期 新聞・雑誌 情報データベースは 現在 下記のウェブで公開しています。

http://20thdb.jp/

  
 「占領期雑誌記事情報データベース化プロジェクト委員会」(代表:山本武利・早稲田大学政治経済学部教授)では、2000年度より科学研究費補助金(研究成果公開促進費)を得て、占領期雑誌資料の目次データベース化を進め、これまでに初年度の成果としてのCD‐ROM「占領期雑誌目次データベース(政治・行政・法律/経済/社会・労働篇)」(雑誌約1300点、記事約30万件収録)を刊行し、その後も着実に他領域のデータベース化を進めてまいりました。
 同データベースを構成している資料群は、一般に〈プランゲ文庫〉の名称で知られており、日本占領期間中を通じてGHQ/SCAPに検閲のために提出された全国のあらゆる印刷物を保存している貴重な資料で、現物の大半は日本では所蔵されていません。その現物は米・メリーランド大学マッケルディン図書館に保管され、現在は日本の国立国会図書館においてもマイクロ・フィッシュの形で閲覧できます。
 本データベースは、この〈プランゲ文庫〉に含まれる全ての雑誌、全ての号に含まれる記事目次をデータベース化しているため、著者名やキーワードによる検索を瞬時に行なうことができます。こうして、内外の様々な分野の近現代史の研究者は言うに及ばず、占領期の日本に生きたすべての人々、その家族が戦後の足跡や忘却した時代を埋める手がかりを得ることができます。 既に初年度のCD-ROM完成時にご案内差し上げましたとおり、このデータベースによって、たとえば文学関係では武者小路実篤や佐藤春夫、あるいは長谷川如是閑、石橋湛山など著名人の新資料が発見されておりますが、今回のWeb版データベースへの80万件のデータ投入により、多種多様な分野での新たな事実が発見されました。

GHQ検閲下で出版された雑誌の記事タイトル、ネットで公開
−−毎日新聞 夕刊(2002/11/21)

 占領期に、GHQ(連合国軍総司令部)の検閲下で出版された雑誌のデータベース作りに取り組んでいる「占領期雑誌記事情報データベース化プロジェクト委員会」(代表=山本武利・早大政経学部教授、約20人)は、当時の雑誌のうち約5600誌・約80万件の記事タイトルのインターネット上での無料公開を始めた。
 記事タイトルには、執筆者▽雑誌名▽発行年月日▽発行者▽検閲の有無▽記事内容を国立国会図書館で閲覧する際に使う「請求番号」――などの項目が付いている。
 1945〜52年のGHQによる日本占領期のうち、検閲制度のあった45〜49年にかけて国内で発行された雑誌は推定15万冊、約1万3800誌に及ぶ。これらの資料は、米国メリーランド大学の「プランゲ文庫」で所蔵している。
 はがき判(50ページ分)に収められたマイクロ・フィッシュは国立国会図書館にあるが、資料数が膨大だ。同委員会は、一般にも利用しやすいように00年度から5年計画で、文部科学省の助成を得てデータベース化を進めている。最終的には200万件分を公開する予定。データベースのURLは、http://m20thdb.jp/ 【有本忠浩】



「プランゲ文庫」ネット公開 GHQ検閲の雑誌15万冊を収蔵
−−東京読売新聞 夕刊(2002/11/16)

 敗戦後の占領期にGHQ(連合国軍総司令部)が日本で検閲した出版物を集めた米・メリーランド大学所蔵の「プランゲ文庫」のうち、雑誌コレクションの一部がデータベース化され、十六日からインターネット上で公開された。これまでマイクロフィルム化されたものは国立国会図書館で閲覧出来たが、資料が膨大なため、研究者など限られた人にしか利用されていなかった。著者名やキーワードでの簡単な検索が可能になり、占領期雑誌記事情報データベース化プロジェクト委員会の山本武利・早大教授(メディア史)は「著名な作家が思わぬ雑誌に投稿していたことも分かる」と話している。
 「プランゲ文庫」は、一九四五―四九年に検閲された新聞や雑誌などの出版物を、当時GHQの歴史部長だった故ゴードン・プランゲ博士が米国に持ち帰り、メリーランド大に寄贈したもの。雑誌だけで約一万三千七百種類、推定十五万冊が所蔵されている。
 山本教授らは一昨年度から五年計画で、これらの雑誌の発行時期や記事タイトル、筆者、検閲の有無などの情報をパソコンに入力している。今回は、八十万件の記事についての情報を公開。完成時には約二百万件になるという。
 これらの雑誌には、「日本経済」や「主婦之友」、「キネマ旬報」「競馬タイムス」など、政治経済からスポーツなど幅広い分野の一般誌のほか、労働組合の機関紙なども網羅されている。井伏鱒二や壺井栄、林芙美子など、著名な作家の全集に収録されていない作品も掲載されている。
 記事情報には、国立国会図書館で現物のマイクロフィルムを閲覧する際に必要な雑誌分類、請求番号もついている。占領期雑誌記事情報データベースのURLは、http://m20thdb.jp/



占領下、原爆は詠まれた 米「プランゲ文庫」
−−朝日新聞(大阪) 夕刊(2002/11/16)

 戦後の言論の自由を制限した連合国軍総司令部(GHQ)のプレスコード時代、各地で発行された雑誌に原爆を題材にした小説や詩歌が「検閲上、特に問題はない」として数多く掲載されていたことがわかった。占領時期に発刊された雑誌の目次データベースづくりを進めている山本武利・早稲田大学教授(62)らの研究グループは「原爆と検閲について再考を促す資料」と指摘。検索情報を16日からインターネット上で公開した。
 終戦から約4年間にわたってGHQの検閲を受けた雑誌は、米・メリーランド大学「プランゲ文庫」に保管されている。山本教授らは同文庫所蔵の1万3800誌、610万ページに及ぶ雑誌の目次データベースづくりに着手。キーワード、筆者名、出版時期、検閲の有無、発行地などの情報を入力した。
 データベースで原子兵器、ピカドンといった原爆関連のキーワード検索をすると、百数十件の記事が見つかる。47年11月号の「大衆文芸」は、徳川家康などの時代もので知られる山岡荘八の「小説・原子爆弾」を巻頭に載せた。
 東京・あざみ社が発行した俳句文化雑誌「あざみ」の46年9月号は被爆地のルポを掲げた。中国管区の警察学校が発行した雑誌「警察文化」の49年8月号は「原爆下の警官達」の特集を組んだ。原爆投下の翌日から1週間、救援活動を続けた元警視の平賀繁さん(83)=広島県河内町在住=ら3人が7ページにわたって当時の惨状を記している。
 また、広島の短歌雑誌「真樹」は48年から49年にかけて原爆歌を、長崎の俳句雑誌「烽火(ほうか)」は48年に原爆3周年記念吟行会をそれぞれ紹介した。
 プレスコードでは、たとえば、「あざみ」の被爆地ルポでは、焼け野原の惨状を詳しく記した数行が削除された。また、長崎で発行された「長崎文学」(復刊第1号から15号)に掲載された「荒寥(こうりょう)とすさみし原子爆弾の焼野が原は氷雨降りつつ」を含む3首が違反とされた。
 だが、データベースで原爆関連の記事を調べると、GHQの具体的な検閲指示は意外に少ない。
 山本教授らは「原爆の検閲は核実験や医学上の影響など具体的な記述に限定されていたのではないか。日本側の自主規制が強かった面もある」と話している。

 ○「原爆 表現と検閲」の著者で詩人の堀場清子さんの話 私もプランゲ文庫で原爆に関する検閲資料を調べたが、共産党や労組の出版物ほどには処分が厳しくなかったと思う。原爆投下の翌年、「夕刊ひろしま」が被爆の惨状をとらえた写真をつけて記事を掲載した。記事は検閲違反となったが、写真は占領軍から複写を頼まれたという。事前検閲から事後検閲へと移行するとともに、情報収集の側面が強くなったといえる。
 <プレスコード> 連合国軍総司令部(GHQ)が45年9月に出した「日本に与える新聞紙法」指令。公安を害する報道や連合国・占領軍への破壊的な批評を禁じ、違反した場合は発行停止や業務停止にすると定めていた。



占領期雑誌目次、DBネット公開−−日本経済新聞 朝刊(2002/11/16)

 占領期に連合国軍総司令部(GHQ)の検閲を受けた雑誌目次データーベースの公開がインターネット上(http://m20thdb.jp/ で始まった。著者名や表題の一部からの検索が可能で、データは現在、約八十万件。山本武利早大教授(メディア史)らの研究グループが作成し、二〇〇五年には二百万件を公開する。
 山本教授によると、このデータベースで菊池寛や谷崎潤一郎、柳田国男、松下幸之助らの全集未収録記事が新たに見つかった。当時の検閲済み雑誌は米メリーランド大の「プランゲ文庫」に保管され、国内では国立国会図書館でマイクロフィルムから閲覧・複写できる。


井伏、壺井…米に眠る作品 占領下の雑誌寄稿文、多数確認
朝日新聞(2002年8月19日夕刊)より
  占領期に連合国軍総司令部(GHQ)が検閲、押収した日本の出版物を保管している米メリーランド大学「プランゲ文庫」に、井伏鱒二、壷井栄、林芙美子ら著名な作家の作品が多数残っていることが、山本武利・早稲田大学教授(62)らの分析でわかった。個人全集には収録されていない作品もあり、占領下の作家の活動を知る貴重な手がかりと言えそうだ。 

 山本教授らは文部科学省の助成を受け、プランゲ文庫所蔵の推定15万冊、610万ページに及ぶ雑誌のデータベースづくりに着手。5年計画で、発行時期や目次、筆者など40項目の情報をパソコンに入力。整理が進んだ雑誌記事について作家名で検索したら、個人全集などに収録されていない作品が次々と見つかった。 

 井伏鱒二は48年から49年にかけ、東京の警察雑誌「公安」と広島の警察雑誌「松風」に、随筆「警官と私」「捕物演出」をそれぞれ掲載。いずれも広島・因島を舞台に、ヤミ物資の運搬船を摘発する捜査を題材にした小説「因ノ島」の創作の舞台裏を記している。 

 「井伏鱒二事典」をまとめた神奈川県相模原市在住の文学研究者涌田佑さん(74)は「初めて見る作品だ。駐在日誌の『多甚古村』をはじめ井伏作品には警官ものが多い。懇意の警察官がいた縁で、執筆依頼に応じたのだろう」と話す。 

 「松風」には、「にんげんをかえせ」で知られる被爆詩人・峠三吉の作で、その後、初出が不明となっていた詩「ひとつの花」も掲載されていた。 

 壷井栄は46年、東京の食糧文化研究所の雑誌「カロリー」に短編「五厘のパン」を載せた。「人間のからだよりもっと大きなパンが5厘」という子らの夢をもとに、飢えに苦しむ世相を描く。 

 壷井全集の編集に携わった鷺(さぎ)只雄・都留文科大学名誉教授(66)は「占領期の雑誌に掲載された作品があることは知っていたが、『五厘のパン』は探し出せなかった。当時の世相に身辺の話題をからませた壷井らしい作」という。 

 「放浪記」で文壇に登場した林芙美子は47年に警視庁の機関誌「帝都消防」に随筆「心づかひ」を寄稿。49年に東京の出版社の雑誌に「幸福の来る道」や「満天の星」を連載していた。 

 山本教授は「意外な雑誌に思わぬ作家が寄稿している。データベースづくりが進めば、様々な新資料が発掘されるだろう」と話している。

占領期雑誌目次データ-ベース(初年度CD-ROM版)
 プランゲ文庫は米国メリーランド大学が所蔵する占領期日本の雑誌、新聞、図書などのメディアの貴重な宝庫である。これらのメディアの多くが日本には所蔵されていない。同大学と国立国会図書館が協力してこれらのマイクロ化という事業を行っている。このたび完成し、公開されたマイクロフィッシュはタイトル数13787、マイクロフッシュ数63131、推定ページ数610万にもなる膨大なものである。


 占領期雑誌記事情報データベース化プロジェクト委員会(代表・山本武利)では、日本学術振興会の平成12年度科学研究費補助金(研究成果公開促進費)を得て、このプランゲ文庫コレクションの全雑誌、全号の表紙・目次等から著者名、記事・論文タイトル名、本文小見出し、分類記号、分類項目、検閲に関する情報、巻号、発行所(出版者)、発行年月日、発行地などの情報を入力して、CD-ROMのデータベースを作成する作業に着手した。そして政治・行政・法律、経済、社会・労働の全雑誌タイトル数1395の雑誌記事情報データベースを平成13年(2001)3月31日に完成した。


 このデータベースにおいて用いられている雑誌の分類記号および分類項目は、国立国会図書館及び米国メリーランド大学マッケルディン図書館の許諾を得て、『日本占領期検閲雑誌(メリーランド大学図書館ゴードン・W・プランゲ文庫所蔵)1945年〜1949年(昭和20年〜昭和24年)−マイクロフィッシュ版―五十音順目録付・分類別索引』に記されたものを使用している。


 利用者は様々なキーワードを入力することで著者名、論文名などが検索できる。内外の様々な分野の近現代研究者やリサーチャーがこのデータベースを使って新しい分野を切り開くことが期待される。


● 平成13年度においても、科学研究費補助金(研究成果公開促進費)を得て、教育、歴史・地理、哲学・宗教、芸術・言語・文学の全雑誌の雑誌記事情報データベース作成にあたる予定である。今後、より良く、使いやすいものにするためにも、利用者の方々から意見、アドバイスを下記にお送りいただければ幸いである。


〒169−8050 東京都新宿区西早稲田1−6−1 早稲田大学政治経済学部山本武利研究室気付 占領期雑誌記事情報データベース化プロジェクト委員会

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