20世紀の日本のマス・コミュニケーションについて研究 マス・コミュニケーションと聞くと、テレビやラジオ、新聞や雑誌などの媒体を思い浮かべる人がほとんどだろう。山本ゼミでは、こうした新聞を中心とした活字メディア、ラジオ、テレビ、さらには最近のニューメディアなどについて研究を行っている。特に、日露戦争から大正デモクラシー、ファシズム期、占領期、戦後期に分けてマス・コミュニケーションの歴史を振り返り、さらにポスターや紙芝居などのミニ・メディアも視野に入れて、各時期のメディアの構造や機能について学ぶ。そして、これらの知識を基礎として、日本の内外でのプロパガンダやインテリジェンスの問題を取り上げ、各時期の事例を挙げてメディアとの関連について研究する。
国際的謀略家の養成をめざす!? マス・メディアは、20世紀以降、政治・経済の面で大きなウエイトを占めてきた。これは21世紀になっても変わらないが、20世紀を中心としたマス・メディアの動きを知ることが、現代ならびに将来への展望に役立つのである。そして、活字メディアとニューメディアとの相互共存をめざしていくのである。山本教授は、マーケティングやジャーナリズムなどの知識だけでなく、プロパガンダやインテリジェンスなどの最近の研究成果も学生に提供している。例えば、第二次世界大戦やアフガン戦争などにおいて、アメリカが敵を混乱させるために行った宣伝活動や謀略放送などの経過をたどり、謀略とメディアとの関係について探っていくのである。「国際的に活動する謀略家や戦略家を養成できるかもしれません」と山本教授は語る。
本の出版の他、雑誌編集やデータベースの製作も手がける 山本教授の最近の研究成果は授業やゼミでも取り上げられているが、教授は毎年、授業で話したことや研究内容を本にして出版している。第二次世界大戦中、ラジオを使って行われた日米の謀略の話が書かれている『ブラック・プロパガンダ』もその一つ。このほか、教授が代表をつとめる「20世紀メディア研究所」では、第二次世界大戦中や敗戦後の占領期に、アメリカが日本に対して行った諜報活動の実態などを紹介した雑誌『インテリジェンス』を創刊した。また、連合国軍による日本の占領時代に連合国軍総司令部によって厳しく検閲されていた当時の出版物のうち、特に雑誌の全目次をデータベース化する作業に5年計画で巨額の科学研究費を受けて取り組んでいる。第1年度はCD-ROMを製作したが、今後はインターネットで検索できる方向に進めている。 |